納品伝票電子化ってナニ?第5回「納品伝票電子化にあたっての課題①:導入コストと適切なシステムの選定」(全10回)
納品伝票の電子化には、導入コストや適切なシステム選定という重要な課題が伴います。これらの課題に直面することで、企業が電子化を進める際に多くの時間やリソースを費やすことになります。それぞれについて詳しく説明します。
- 導入コスト
- 課題
納品伝票を電子化するには、システム導入にかかるコストが発生します。具体的なコストとしては、以下のようなものがあります。- ソフトウェア費用
納品伝票の電子化には、専用のソフトウェアやクラウドサービスを導入する必要があります。これらのソフトウェアにはライセンス料や月額費用がかかる場合があり、特にカスタマイズが必要な場合はその分費用が増加します。 - ハードウェア投資
電子化された納品伝票を利用するために、適切なハードウェア(例えば、スマートフォンやタブレット、スキャナー、バーコードリーダーなど)を導入する必要がある場合があります。これらの設備投資もコストに影響します。 - 社員教育費
新しいシステムを導入する際、従業員に対して教育やトレーニングを行う必要があります。このトレーニングには時間と費用がかかります。特にデジタルリテラシーが低い従業員が多い場合、その負担は増大します。
- ソフトウェア費用
- 対策
- クラウドベースのシステム選定
クラウド型の納品伝票システムを選ぶことで、初期投資を大幅に抑えることができます。クラウドサービスでは、サーバーの購入や運用保守コストが不要で、月額料金を支払う形になります。これにより初期投資を低減し、必要に応じて機能を追加できる柔軟性も提供されます。 - 補助金や助成金の活用
日本政府や地方自治体では、IT導入のための補助金や助成金が提供されることがあります。これらを活用することで導入コストを大幅に削減することが可能です。
- クラウドベースのシステム選定
- 課題
- 適切なシステムの選定
- 課題
納品伝票の電子化を実現するためには、適切なシステムを選定することが不可欠です。しかし、システム選定にはいくつかの重要なポイントがあり、これを誤ると、導入後に多くの問題が発生する可能性があります。- 互換性の確保
納品伝票は複数の得意先との接続が必要となるため、導入するシステムが、得意先が採用するシステムと互換性がある必要があります。 - 取引先との連携
納品伝票の電子化に対応していない取引先が存在する場合、当該取引先に対しては紙の納品伝票による運用を続ける必要があり、紙と電子の二重運用が生じます。 - 既存業務フローとの整合性
紙の納品伝票における業務フローを大きく異なるシステムを導入すると、現場作業に混乱が起きる可能性があります。 - ユーザビリティと操作性
納品伝票の電子化において、実際にシステムを利用するのは現場担当者であり、使いづらいシステムを選定すると運用が定着しません。 - システム連携の柔軟性
他の社内システム(WMSやTMSなど)との連携が難しい場合、システム間のデータ交換が分断され、業務が煩雑になります。
- 互換性の確保
- 対策
- 取引先に合わせたシステムの選定
納品伝票の電子化は、自社だけでは完結せず取引先の電子化に対する取り組み状況を考慮する必要があります。取引先が採用しているシステムとの互換性や、電子化に対応していない取引先がいる場合は紙の納品伝票を発行できる機能を持つシステムを選定する必要があります。 - 現場の運用に応じた仕様とマニュアル準備
納品伝票の電子化を進めるうえで重要なポイントは現場担当者の作業効率が紙の伝票と比較して低下しないことです。現在の業務フローを整理および現場担当者の意見をヒアリングし、運用に即したシステムの選定と電子化後の業務手順マニュアルを準備します。システム連携による業務効率の向上を見据え、既存の社内システムとのAPI連携やCSVダウンロード、インポートが可能なシステムを採用することが求められます。
- 取引先に合わせたシステムの選定
- 課題
- まとめ
納品伝票の電子化における主な課題は、導入コストと適切なシステムの選定です。導入コストを抑えるためには、クラウド型サービスや政府の補助金を活用することが有効です。また、システム選定においては、取引先の状況や現場担当者の作業負担を考慮してシステムを選ぶことが重要です。