納品伝票電子化ってナニ?第2回「なぜ納品伝票の電子化が必要なのか」(全10回)

納品伝票の電子化が必要な理由は、主に業務効率の向上、コスト削減、環境への配慮、そしてデータ管理の精度向上にあります。近年、企業活動においてデジタル化が進んでおり、納品伝票もその例外ではありません。特に、企業間取引や物流業界での業務効率化を図るために、納品伝票の電子化が進められています。以下、電子化が必要な理由について詳しく説明します。

  1. 業務効率の向上

従来、納品伝票は紙で発行され、手作業での記入や処理が求められました。これにより、配送業者や受取人、取引先などの間で書類の確認や管理が煩雑になり、ミスや遅延が発生しやすくなります。例えば、配送業者が紙の納品伝票を手渡しする際、誤った商品が納品されたり、伝票が紛失したりするリスクがありました。また、納品伝票の管理には大量の紙を使用するため、保存場所を確保する手間もかかります。特に国税庁は納品伝票を帳簿書類の保存期間として以下の様に定めています。

法人は、帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。
(国税庁:No.5930 帳簿書類等の保存期間 より引用)

電子化により、これらの問題を解消することができます。電子された納品伝票では、リアルタイムでのデータ更新や確認が可能となり、書類を紙で手渡しする手間も省けます。例えば、ある企業が電子化された納品伝票を利用している場合、配送業者は納品時に受取人のデジタルサインを取得し、伝票データを即座にシステムに反映させることができます。

これにより、紙の納品伝票では、配送業者はサインや確認印を押印した受領書を収受するため待機していますが、電子化により受領書を収受する必要が無くなるため待機時間削減にもつながります。

  1. コスト削減

紙の納品伝票で運用した場合、出荷元や受取人が後から納品伝票の情報を確認したい場合、配送業者へ照会を依頼する必要があります。しかし、電子化した場合はシステムにデータが反映されるため、出荷元と受取人はシステム上で照会が可能となり、配送業者も対応の必要がなくなります。紙の納品伝票には、印刷、配送、保管、廃棄にかかるコストが伴います。特に大量に納品伝票を発行する企業にとって、これらのコストはかなりの負担となります。電子化することで、印刷や配送にかかるコストを削減でき、ペーパーレス化が進むため、企業の経費削減に寄与します。

  1. 環境への配慮

電子化は環境負荷を減らすために重要な施策です。紙の使用量が減少することで、森林資源の保護やCO2排出量の削減につながります。環境に配慮した経営を行うことは、企業の社会的責任(CSR)を果たすうえで重要であり、環境意識の高い取引先や投資家等のステークホルダーに対して好印象を与えることができます。

デジタルロジスティクス推進協議会の検証結果では、検証日のお届け先約330件に対し、伝票を約2100枚印刷しています。納品伝票の電子化率100%かつ専用紙伝票の取扱いが不要の場合、印刷枚数をお届け先数(330枚)に削減することができると試算しています。印刷枚数が減少することで、印刷時間も削減されるため、業務効率の向上にもつながります。

  1. データ管理の精度向上

電子化された納品伝票は、データとして保存されるため、情報の検索や抽出が容易です。紙の納品伝票では、過去の取引内容を確認する際に、手作業でファイルを探し出す必要がありましたが、電子化によって必要な情報を迅速に取り出すことができます。また、データ化されているため、誤入力や重複を防ぐことができ、ミスを減らすことができます。

  • まとめ

納品伝票の電子化は、業務効率の向上、コスト削減、環境負荷の軽減、そしてデータ管理の精度向上といった多くの利点をもたらします。紙の納品伝票に比べて、リアルタイムでの情報共有やミスの削減、検索機能の向上などが可能となり、企業活動の効率化に大きな貢献をしています。

※参考:デジタルロジスティクス推進協議会 納品伝票電子化実証実験報告書 https://www.digi-logi.jp/documents/202111_report.pdf